現在価値革命は、資産価値を損失や利益の積み上げでなく、将来収益予想の割引現在価値で認識し資産の時価を求める考え方である。この考えのもとで企業の価値を従来の資本金および内部留保から時価評価後の資産から負債を引いたものへと大転換を遂げた。
それにより、企業の社会貢献、社会的責任、の概念ははるか後方へ追いやられ、企業は単なる金融商品として、短期的な利益を求める投資家に切り売りされ、解体されるケースが続出した。
このように、金融資本主義は計測できないものを計測し、時価をはじき出すことにあくなき追求をしたが、所詮、だれも、ビル・ゲイツの脳みその価値など測れるわけがなかった。評価の原点が将来収益予想と市場の期待に基づいている限り、客観的な価値を測定することは極めて無理があり、主観的な、恣意的な操作に流されがちである。
中川龍夫氏が「数値から自由な企業を目指して」のなかで、述べているように企業の価値は実測会計の上に主観的な予測会計で塗り固め、かたや数値で表せない外部環境の荒廃度や精神的な内部環境の悪化のような企業が原因となっている外部不経済は捨象して算出されるというように極めて虚妄の利益のもとで企業は翻弄されているという指摘にはおおいに共感できる。
中川氏の唱える「ドーナツ」持合いも金融商品に堕してしまった株式を金融市場から救いあげる手段の提案ということで心意気に賛同したい。
資本主義はどこへ行くのか。われわれの子孫が享受すべき資源、環境を食い荒らし、どんどん自己増殖を繰り返し、モンスター化し、人間の制御を超える存在となってしまった。
中川氏は最終章で「人類の未来を切り開くのは市場主義と成長主義から脱した私的企業が頼りである」と述べている。市場主義と成長主義からの脱却は私も思うところであるが、私としては、私的企業では制御できる域を超えてきており、社会主義的所有形態がより理想的に機能する可能性があるのではないかと思っている。
ソ連の失敗は、農業国や後進的工業国がいきなり取り入れた社会主義の失敗であり、ソ連の社会主義はエンゲルスが「空想から科学」で論じた空想的社会主義の見本でしかないとの見方も強い。(つまり、ソ連崩壊をもってマルクス主義が破産宣告を受けたわけではないのではないか)
マルクスのいう共産主義とは、資本主義が高度に成熟した段階で移行する体制であるが、現在の資本主義はまさにこの段階に来ているのではないか。
以上とりとめのないことを書いてきたが、著者に更なるご鞭撻、ご指導をお願いしたい。
中川龍夫氏「数値から自由な企業を目指して」
下のPDF参照
genko.pdf
【日記の最新記事】

